東善寺HP→倉渕巨樹の会  ●      御神木三叉の木(三頭木)はシヴァ神の鉾 


 
御神木三叉みつまたの木(三頭木)

シヴァ神の鉾(矛)である

倉渕巨樹の会・村上泰賢説 
 
2012平成24年全国巨木フォーラム青森大会で高渕英夫氏(十和田市)から
「東北では幹が途中から三つに分かれている
三叉の木
(高渕氏は三頭木・さんとうぼく と名付けた)は神様の木
として大事にされている」

という発表があり、多くの事例が示された。



▲ 三叉のブナ(幹周り6m・十和田市)
HP「東北巨木調査研究会」より

とにかく三叉の木は神様の木

*以下は村上泰賢が集めた事例集
  北海道の例
木古内町 
薬師山の三本杉

HP遊ぶべ道南探検隊より
青森県の例

田子町

    ▲「蛇王の松」  田子町              ▲「三本松の山ノ神」  田子町 
いずれも神様として祀られている      HP「東北巨木調査研究会」より          

八戸市
 
八戸市 櫛引神社 拝殿の背後 『三杉』という名でごやはり御神木になっている
 
階上はしかみ


天当平の「火炎の松」 階上町役場の近く
三叉の木で以前は根元に祠があったという 2023令和5年10月7日 階上町全国大会
  山形県の例
最上郡鮭川村曲川 「小杉の大杉(トトロの大杉)


          ▲この大杉は看板表示に「根元から三叉さんさ状に幹が分岐し・・・」
とあることから
        
 「三叉の木は神様の木」として根元にお宮が祀られ、
伐られなかったので巨樹になった と思われる。

▼見る位置によって三本の梢が見られる。

根元を見てもどれがはじめの三本かわからない
反対側にお宮が祀られている

2023令和5年11月6日撮影
 群馬県の例

わが町にもあった! 
三叉の御神木
高崎市倉渕町

▲ 御神木の三叉杉 (目通り:350cm)
地蔵峠から林道を西へ3キロの杉林の中
(林道は林業事務所の許可がないと入れません)


▲根元には石宮が祀られ、
「慶応三年 中尾村中」
と彫られている。
まさに神様の木として中尾村の山仕事の人々が祀ってきた木だ

◇青森大会の高渕氏の発表では「新潟から北の地域の風習」という発表であったが、同行の会員(元営林署職員)が「うちの町にもあるよ」という。驚いて、帰郷後に案内してもらうと上の画像のようなりっぱな三叉の木が残されていた。
◇推定樹齢:250~300年…慶応三年(1867)に石宮を祀るまでに最低2,3回の伐期(約40~50年×3回)にも「神様の木だから」と伐り残されたと考えると、それだけで約150年+慶応3年から約150年という計算 
 群馬県にもう1本あった
御神木・
大岩の三叉スギ

▲大岩の三叉スギ
吾妻郡中之条町大岩地内

◇中之条町沢渡温泉から暮坂峠への途中、大岩集落で道路から1.3キロ入った不動堂の手前。県の天然記念物指定。目通り:約7.7m。高さ:約55m。樹齢約700年。
◇江戸時代、お堂の火災の時本尊様がこの樹に飛び移り難を逃れたという言い伝えがあり、そのために以後の伐採を逃れた、と説明板にある。
*これも、とにかく御神木として伐らせないための説明伝説であろう。

*伊勢湾台風で幹が1本欠け二又杉になってしまったので、以後傷跡に腐食を防ぐ屋根(根元左の黒い三角)をかけ、ステンレスバンドで裂けないよう保護している。


 
茨城県の例

▲御岩神社の三叉杉 日立市

由緒歴史のある神社だが 豪壮でなく
質素な社殿が実にいい
御神体が御岩山だから
それを拝む拝殿は大きすぎないようにしている、のだろうか
杉の巨木の境内がきれいに掃き清められ
お参りしてすがすがしい雰囲気に満たされる

東京都の例
 
「氷川の三本杉」
奥多摩駅の前、奥氷川神社

▲HP「日本の巨樹巨木」から転載 
山梨県の例
稲村神社の三叉の杉  
大月市笹子町白野

HP「甲州道中ウオーク」より
長野県の例 中条村
臥雲の三本杉 


▲HP「巨樹巨木巡礼」より転載
 岐阜県の例


六厩(むまや)の三本松
高山市荘川町六厩

コチラでご覧ください。「時間の輪」


井野の一本杉
揖斐郡揖斐川町谷汲岐礼
(たにくみきれ) 
一本杉といいながら、実は三叉杉プラス別の落葉樹が着生している不思議な木
木の前に社もあって御神木扱いが歴然

コチラでご覧ください。「巨樹巨木巡礼」
石川県の例 
山中温泉・八幡神社の三叉杉 加賀市山中温泉町菅谷
この神社で面白いのは未来の巨樹が見られること

立派な三叉の杉がしめ縄をはられてご神木となっている。
右手前の杉もかなり太いが、三叉でないからしめ縄を張ってもらえない。


未来の巨樹▲  
同じ境内の参道を挟んだ反対側にある三叉の杉は、まだ樹齢50~60年。
周囲に同じ樹齢の杉が何本もあるが、
この木だけ
三叉だからしめ縄を張ってもらえて
未来の御神木巨樹
になっている。よかったねえ~
杉は成長が早いから、あと百年もすれば
立派な巨樹となっているだろう。

2014年11月13日撮影
 福井県の例
平泉寺の三叉杉
 勝山市平泉寺町

▲HP「勝山市の樹木たち3」より転載
 三重県の例
水屋の大楠

三重県松阪市飯高町赤桶 水屋神社
じつは三叉の大楠です。受講35m、根回り29m,胸高16.63m
堂々とした立派な樹勢の木でした。2015平27年10月18日

             ▲根元をしっかり踏ん張っている
コチラでもご覧ください。「時間の輪ー水屋の大楠」

 滋賀県の例

杉坂峠の三本杉 
犬上郡多賀町
杉坂峠

三本に分れた大杉は多賀大社の御神木と言われている

HP巨樹巨木巡礼」より転載
 京都市の例 左京区
「大悲山の三本杉」


▲HP「巨樹の花のページ」より転載
 兵庫県の例
黒尾山・不動滝の三叉杉
 一宮町

HP「ヤマレコ兵庫県・黒尾山」より
 愛媛県の例
三本杉

松山市福見川町の新宮神社


HP国土交通省 松山下線国道事務所 より
 

    三叉の木(三頭木)なぜ神様の木か
 
◇青森大会で高渕氏は、三叉の木が神様の木とされる理由として

1、「とにかく神様の木」説 …だから伐られずに残され巨樹となった。  と
「三叉の木は上が不安定で伐るとどう転ぶかわからず危険だから、伐らせない」説

を紹介していた。

◇2、の「伐る時に危険」説では、三又の木を神様の木として扱って木にしめ縄を張り、木のそばに祠や石宮を祀る必然性に欠ける。それにこの説だと、二又の木も四つ又の木、五つ又の木も危なくて伐れないから、巨木になって残るはずだが、そういうものは少ない。なぜ三又の木(三頭木)が神様の木かという理由がわからなくなった後世のこじつけ説明であろう。

村上泰賢説

三叉の木は神様の木であり、それは
ヒンズー教の
 シヴァ神をあらわすシンボルの三又の鉾・矛に見立てている
●シヴァ神は山そのもののこと


◇つまり山そのものをシヴァ神として崇め、
三叉の木をシヴァ神のシンボルとしての武器である三叉の鉾(矛・トリシューラ)に見立てている、と考える。
     ◇ 日本にヒンズー教?といぶかる人も多いだろうが、

 ヒンズー教は、インドのみならず古代からアジア地域一帯に広がり日本にも仏教以前に伝わっていたのではないか、と考えられる。
 たとえば、
 日本の道祖神のルーツはインドのリンガ(男性器)とヨニ(女性器)の繁栄・降魔信仰に求めることができるし、紀元前の石器時代遺跡からもその形状の石器が発掘されている。今も日本各地に残る性神信仰や、金精様(男性器)を祀る信仰も同様に考えられる。

              例: 日光金精山と金精峠
       
               ▲金精山と金精宮 群馬―栃木県境の金精峠と、▲冬の金精山
 お宮には石造りの金精様が祀られ、背後の金精山はまさに「日本のカイラス山」といえる山容をしている。(たくさん奉納されていた石造の金精様は、いまは降ろされて「白根魚苑」に保管されているという。)

 そして、シヴァ神が住み、瞑想する場所はヒマラヤのカイラス山である。

        カイラス山
 カイラス山はシヴァ神の棲み家であると同時にリンガの根源となっている。この山はインド、ネパールのヒンズー教徒、仏教徒にとって大事な聖地で、この山を歩いて参拝する、或いは五体投地で巡って参拝する人が絶えない。 (登山家もこの山は特別神聖な山として登らない) 

  






















         ▲カイラス山

        
          シヴァ神とは
        

人がエゴの硬い殻に覆われ身動きできない時、運命も、病気も、悩みも、思い通りにならず苦しみにあえぐ状態を、再生のために壊して新しいエネルギーを与えてくれる。
破壊と、破壊のあとの創造をつかさどるから、様々な姿に化身(だから大自在天ともいう)する。
世界を破壊するときはまっ黒い姿で現れることからマハカーラ(大黒)とも呼ばれ、仏教では大黒天として祀られ、日本人にも親しまれている
(日本では大黒天は「大黒様」、大国主命〈おおくにぬしのみこと〉の「大国様」と習合・混同されている)

◇世間で女房を「カミさん」「山の神」と呼び、寺院では「大黒」と呼ぶ。すさまじいパワーを持つ女房を、山に住む破壊と創造の神シヴァ神に見立てるのに連想した言葉であろう。
  つまり
       シヴァ神は山そのものであり、
       「カミさん」「山の神」「大黒」はシヴァ神である。

◇そのシヴァ神の持つ武器三又の鉾・矛(トリシューラ・上の画像参照)は、シヴァ神が描かれなくて鉾・矛だけでもシヴァ神そのものと考えていて、アジア地域一帯にこういう信仰が,「シヴァ神」とか「ヒンズー教」という言葉は置き去りにして広まり、日本にも根付いていると考えられる。
                      
                      ▲三叉の鉾がシヴァ神を祀る場であることを表している

 

 日本各地に三又の鉾
    山はシヴァ神そのもの
                   
                   ▲高千穂峰(1573m)・宮崎県と鹿児島県境
事例集ー1高千穂峰の頂上の鉾・矛
◇ニニギノミコトが降臨した時に突き刺した「天の逆鉾あめのさかほこ」、といわれる三叉の槍が山頂に立つ。奈良時代にすでに立っていたという。

「逆鉾」伝説では…ニニギノミコトが雲の上から地上に立つべき場所を探ったあと、逆さに建てたから「逆鉾」だという。しかし、これは逆さではなくこのままでいい。山そのものをシヴァ神とみる考えがわからなくなった後世の、説明伝説であろう。

事例集-2巨樹の会全国大会青森大会で買った純米酒「ねぶた」の箱に毘沙門天が描かれ、その右手にはなんと、三叉の鉾がしっかり握られていた!
                  
                   ▲純米酒「ねぶた」の箱  
      鉾・矛はこう持つ。事例1の高千穂峰の鉾も逆さではない。青森の清酒 桃川

事例集-2の2青森県岩木山頂上に供えられた鉾
                  
 津軽平野にそびえ「お岩木山」と呼ばれ親しまれている1625mの秀麗な山頂に、
立派な鉾が1本だけ供えられていた。(2020令和2年7月9日撮影)


事例集-3熊本県山鹿市鹿央町七夕神社…三叉の鉾・矛が祀られていて、「三矛・御鉾大明神」ともいう(未見)。最新の画像を和水町の知人が送ってくれたので紹介します(2015平成27年1月)。
                  
                   ▲七夕神社の三叉の鉾 鳥居と一体型は珍しい。
                     古い信仰形態を残しているように思える。
                   撮影提供:平田稔氏(和水町・たまきな出版舎

事例集-4 宮崎県西都市大字尾八重字横尾の巨木「尾八重(おはえ)の一本杉
           この杉の偉容は下のHPでご覧あれ。
           2015平成27年1月29日、確認してきました。「鉾の国・宮崎の旅」
                 
                 
                 ▲魁偉な枝を広げる大杉の根元に長さ64センチ
                   の大きな鉾が供えられていた

事例集-5宮崎県西都市大字尾八重字湯乃片 湯乃片神社
          2015平成27年1月29日、確認してきました。「鉾の国・宮崎の旅
 上記「尾八重の一本杉」を取材確認の帰途、道路下に見えた湯の片神社が気になってお参りする。車を降りて近づいてゆくと…、あった
                 
                  ▲尾八重の一本杉と同じくらいの大きな鉾で長い柄もついていた
                 

                  
                 ▲さらに拝殿奥にも小さな鉾がたくさん供えられていた
                四角いものは「打ち出の小槌」で、「大黒天=シヴァ神」を
             「オオクニヌシノミコトの大国様」と混同して「小槌」を奉納して
             いることがわかる。

事例集-6宮崎県西都市尾八重字樅木尾(もみぎお)石宮「鹿倉様かくらさま
          「有楽椿の里」へ下りる道路分岐の脇に小さな鳥居と石宮が見える。
          もしやと、のぞいてみると…、
                

                
                  ▲鉾があった! 御札の奥に隠れているのを出して撮影。
                 また元に戻しておいた。(2015.2.1尾八重を再訪し撮影)
            2015平成27年2月1日、確認してきました。「鉾の国・宮崎の旅」

事例集-7宮崎県日向市南郷  神門(みかど)神社
                  
                  ▲百済の里として知られる神門神社拝殿の天井裏から
                  発見されたという1006本もの鉾の中に三叉の鉾も
                  たくさん供えられていた(西の正倉院)


事例集-8宮崎県都農(つの)町 尾鈴山山頂の尾鈴神社石宮 にもある、
           という情報で登って、見ると、ない! どうした?!
                
           ▲尾鈴山山頂の尾鈴神社 石宮の側面に「大正10年に再建」とあった

         もしや、と石宮の裏に廻ると地面に赤錆びた金属片がたくさん凍りついている!
                   ここにあった!誰かが放り出してしまったのだ。
                   
                ▲2片だけそっと地面からはがして元の石宮へ戻す。
                後は凍りついているから春に溶けたら掘り出して戻してほしい、
                と下山して都農町観光協会にお願いした。
          すると職員は「そういう鉾なら、尾鈴キャンプ場にもありますよ」
              エッ、通り過ぎて来たあのキャンプ場! 急いで戻って探すと
           それが下記の写真事例―9
              2015平成27年1月30日、確認してきました。「鉾の国・宮崎の旅」

事例集-9
宮崎県都農町 尾鈴山山麓の尾鈴キャンプ場モミの大木の石宮
                  
                  ▲お宮の右脇に置かれていたので、正面に供え直して撮影。
                背後のモミの木は太いけれど三叉ではなかった。
                 2015平成27年1月31日、確認してきました。「鉾の国・宮崎の旅」


事例集-10 国富町の古墳出土の(鉄)  *実物は未見
                      
                  ▲『宮崎県史ー資料編』コピー…西都原古墳の宮崎県立考古博物館で入手
                 学芸員がコピーしてくれた資料。

 「この三叉の意味が解らず、魚とりのヤスとみられていた」とのこと。
ヤスなら、3本が同じ長さにそろっているはず。これは鉾。

みやざき歴史文化館(宮崎市大字芳土)
にも古墳出土の鉾が展示されている。

事例集-11
長島の山まつりは鉾がご神体
 鹿児島県長島町唐隈地区の山祭りのご神体は鉄鉾だった 
                 
                   ▲画像提供:長島町歴史民俗資料館 山崎友喜氏
    この鉾を祀る「山まつり」は、旧暦十一月の丑か申の早くきた方の日、とのこと。
    平成27年の場合は12月15日が〈旧暦十一月五日丑の日〉となる。
◇以上、HP[山への旅」シリーズ(リンク)で…九州における鉾の事例が沢山わかりました。お礼申し上げます。
それで
2015平成27年12月15日に訪ねてみたら、▼新しい鉾に変わっていた。

                 
漁のモリを使ったらしい。できれば左右を短く削って欲しい。
このままだと「海まつり」と誤解されそう。

     新ページ「長島の山まつりはシヴァ神の祭り」:平成27年12月、訪ねてみると真っ黒い神様のまつりだった。
          
事例集―12
■「ほこどん」の祭り
同じ長島の「山まつり」でも隣の小浜地区は様子が違っていた
               
             ▲若者の顔にかまどのススを真っ黒く塗って神様とする、まさにシヴァ神(=大黒天)だ
                 
                    ▲「ほこどん」 鉾はなくて
                    穴の開いた石がご神体

関連情報:「御鉾様」…長野県塩尻市の小野神社(リンク)
…リンガと思われる。(未見)

事例集ー13的野八幡宮(都城市)の弥五郎どんの鉾

       ▲背中に背負った長い柄の三又の鉾

事例集―14岩屋観音堂岩壁の彫刻・鉾

▲江戸時代中頃に行仙が彫ったという  ▲拓本


事例集-15群馬県・西御荷鉾(みかぼ)山の山頂に三又の鉾
      
              
▲山頂にたくさんの鉾が奉納されていた
                  
  この山には「不動尊信仰」があって、御荷鉾林道沿いの登山口には大きな鉾が建立されている。
 隣の東御荷鉾山にも同様の不動尊信仰があり、頂上の不動尊石像には鉾が祀られている。
*不動明王がシヴァ神とする説
は否定されているが、「三叉の鉾・真っ黒い姿・山」との関連は強く、うかつに否定していいものか疑問である。

事例集-16群馬県・上州武尊(ほたか)山の鉾
 
        ▲頂上の日本武尊
(ヤマトタケル)像 その足元に立派な鉾が奉納されていた。

事例集-17山形県・月山がっさん頂上の鉾
               
月山頂上の拝殿裏の石垣に立てかけられていた鉾▲

 「大国様」を祀った刷り物が売店脇にあったが、「大黒天=シヴァ神」を「大国主命
オオクニヌシノミコト」と混同して「大国様」の刷り物を売っていると思われる。
なぜなら
「大国様」は打ち出の小槌がシンボルだから「小槌」を奉納するはず。
*事例集―5 を参照されたい。
「大黒天=シヴァ神」は「三叉の鉾」がシンボルだからこのように三叉の鉾を奉納している。
*この頂上拝殿は参拝料500円でお祓いを受けてからでないと拝めない。

なぜ混同したか-もしかしたら混同ではなくてすり替え

 大黒天は仏教系、大国様は神道系。明治政府が進めた「神仏分離」政策により、神仏混淆の信仰形態を持っていた多くの山岳宗教の寺社がどちらかの選択を迫られ、神社を選んだところは仏教色を抹消することに努めた結果と思われる。

事例集-18苗場山鳥甲山・秋山郷の鉾


            ▲十二社と三叉の鉾

 ▲鉾…苗場神社隣の民俗資料室「とねんぼ」に展示

 秋山郷からの苗場山登山口小赤沢の苗場神社の隣「十二社」の扉を開けて入って拝むと、右壁に三叉の鉾が供えられていた。さらに、隣の施設民俗資料室「とねんぼ」展示室にも村のどこかに祀られていた鉾が展示されていた。

「十二社」とは何か・・・山の神として関東~東北に多いが特に上信越の山村で祀られ,山仕事(春の植え付け、夏の下草刈り、秋の伏せ(霜焼けを防ぐため幼木の先端を土に埋める)、春の起こし(先端を土から起こす)、枝打ち、間伐、伐採、里への曳き出しなど)を職業とする人々にとって大事な神様。
 ○月12日
(地方によって月が異なる)の祭りには山仕事を休んでお参りし、山への感謝と仕事の安全を祈願して宴会した。十二様の根源やいわれは諸説あって確たるものはない。
 もしかしたらシヴァ神を山の神として祀る信仰が根源ではあるまいか。

事例集-19三条八幡宮(新潟県)三条まつり

      ■
「御神幸・大名行列」の鉾


 ▲「三条まつり」御神幸
ごじんこうの鉾(三条歴史民俗産業資料館)  ▲三條新聞2021令和3年5月14日 画像は過年度 2021年はコロナ感染防止から中止


 
◇未見でこれから調査確認したいところ。
        ・宮地嶽神社:(福岡県福津市宮司元町7-1)…「御祭神」の随神は鉾を持ち、拝殿内に鉾をま
         つり、11月に「御神鉾」を発行。かつてはたくさんの鉾が奉納されたという(未見)
        ・草部吉見神社:(熊本県阿蘇郡高森町草部)…頭に三叉の鉾をつけた赤天狗・青天狗の面が
         使われる(未見)
        ・稲荷神社:宮崎県児湯郡高鍋町家床の東光寺跡の広場奥(未見)
        ・大分県中津江村の山神社(やまのかみじんじゃ)には三叉の矛が供えられている(未見)  
        ・熊本県球磨村の山神社には金属製の鉾が奉献されている〈未見)

        ・熊本県小国町の鉾納神社という名称も気になります。

事例集  
■山歩きに「三叉の杖
子供の頃、おじさんに連れられてキノコ採りに行ったら、途中で適当な木の枝を払って「これを杖にしなさい」と渡してくれた。その枝先は3本の三叉になっているものだった。意味があったのか、偶然なのか…(沼田市・田中洋史氏報告)

事例集■どんどん焼きの三又
 子供の頃(沼田市)、「どんどん焼き」のときに火が静まると門松が燃えてできた三つ又の部分を特に探して持ち帰り、家の稲荷様に供えた(前橋市・黒岩繁氏報告)


 
                     お願い
 この「御神木・三叉の木はシヴァ神の鉾」説はまだ調査の余地があります。どなたでも、関連する話がありましたら、お知らせ下さい。  
村上泰賢::tozen**@clock.ocn.ne.jp **は隠しワード→電話でお尋ねください。―迷惑メール対策。

     【予 測】
・九州には「三叉の木は御神木」とする考えはない模様。とすると、九州の鉾と東日本の三叉の御神木の中間地帯〈中国山地など)に両者のミックスがあるのではないか。
・朝鮮半島や中国にもこの形態の信仰があるのではないか。                               
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