住職のコラム(HP東善寺) 法話    ●          国王・大臣に近づくことなかれ



      
     道元禅師が師である天童寺の如浄禅師から受けた訓戒   
 国王・大臣に近づくことなかれ
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下部に 「避けた方がいい新興宗教」

 

「曹洞宗の大本山永平寺は、どうして遠い福井県の、しかもあのような山の中にあるのですか」と時々聞かれます。たしかに今でも簡単には行けません。
 じつは、中国へ渡って修行した道元禅師が日本へもどって、禅の修行道場を開く決心を師に伝えたとき、師の天童寺の如浄にょじょう禅師は
国王・大臣に近づくことなかれ」と訓戒しました。

「国王」とは、当時は鎌倉時代ですから天皇と貴族たちの朝廷ということになり、道場を京都に開くのはダメ。「大臣」は政治の実権を握っている鎌倉幕府北条時頼らですから、鎌倉もダメ、ということになります。道元禅師はそれを守って、修行道場の地を探し、越前福井の領主波多野氏の縁があって越前国福井の志比庄に土地を得て今につながる修行道場永平寺を建立しました。  


永平寺 勅使門 

「国王・大臣」などの権力者や、富裕な人物との交際が深まると、どうしても政治権力や富裕な金力にへつらいあるいは迎合することになり、そういうことを上手にできる人が宗門で偉くなったりして、宗教本来のあり方がゆがむ、ということでしょう。
 永平寺を開いた当時から汽車が通じるまでは歩いて行くのですから歩き始めが修行の始まり、雲水は「ここで修行させていただける」という感激で到着したことでしょう。

さらに、永平寺での道元禅師の評判を聞いた執権北条時頼は、禅師を福井から鎌倉に招きいろいろ話を聴いて感嘆、鎌倉に土地を与えるから、修行道場を開くようにと、すすめました。道元禅師はそれを断り、用事が済むとさっさと永平寺に戻り、再度招かれても二度と鎌倉へ行くことはありませんでした。  

 いま旧統一教会はじめ、政党まで作って政治に近づこうとしている新興宗教がいろいろありますが、如浄禅師や道元禅師と真逆のあり方といえます。 

 政治権力に近づいた統一協会

避けた方がいい新興宗教は

 
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世界基督キリスト教統一神霊協会(改名して世界平和統一家庭連合)の政治家への接近癒着が問題となっています。自分たちの団体の箔付けと信者に信じさせるためために政治家に接近し、マインドコントロールした信者を選挙の応援に送り込み、そうやって恩着せした政治家を使ってお墨付きを得たように振る舞い、自分たちの反社会的と言われる非常識かつ強引な献金や布教活動を保護してもらうねらいがあったようです。

 ほかの新興宗教にも、同様に政治家に接近し、あるいは政党を作って直接政治を動かそう、あわよくば自分たちの宗教を国の宗教にしようとしている新興宗教団体があります。

 道元禅師・曹洞宗の「国王・大臣に近づくなかれ」とは真逆の宗教団体です。

 【避けたほうがいい宗教は】

◆脅おどかす宗教「脅迫宗教」・・先祖が祟たたっている、やめるとよくないことが起きる、地獄に落ちる、子供や孫に祟たたりがある、足の裏に悪い相がでている、功徳を積まないと(=献金・お布施が足りないと)死後に遺体が黒くなる…などと脅かします。そういうことをいう人は、なにか心配事や不幸なことがある人に目をつけて近づき、勧誘します。背後に会員を増やすノルマと誘うときのやり方(マニュアル)や指導する先輩・幹部がいるからで、親切からではありません。

ノルマで競争させる宗教「ノルマ宗教」・・・ 献金や布施の額・信者獲得の数・◯回参加した回数・選挙の票を◯票集めたなど、競争をあおる宗教はいつも心が落ち着かなくなります。
 これは宗教とは離れたものを競争させられているだけのこと、信仰とは違います。信仰心を競争させています。心の平安を得るために競争から離れ信仰に入ったはずが、また競争社会の考えで振り回される状態に入りますー。
 たとえば、禅宗で「自分は○回坐禅した」と威張ってもそれがどうした、と笑われるだけ。

・旧統一教会は若者にハンカチや珍味、お茶、壺、数珠などを売るノルマを与えて、朝から売上げの目標額を言わせ、目標額に達しないとさらなるノルマを与え「宗教ドレイ」に仕立て上げています。

ウソ・隠しごとがある宗教「虚偽宗教・・・キリスト教系新興宗教である旧世界基督キリスト教統一神霊教会が「たたりのある◯代前の先祖の霊をを供養してあげる」と高額な献金をさせたそうですが、「先祖供養をする」といった時点でアウト!すでにウソが始まっています。
 本来キリスト教は(生命に対する考え方が異なりますから)「先祖供養をしない宗教」です。「先祖供養」といえばそれに慣れているマジメな日本人が釣られたのです。
 「平和家庭連合」と改名しながら、信者の家庭は高額な献金で貧窮となり、脱会するしないで家族がモメて「平和でない家庭」「崩壊家庭」がたくさん生まれている。「平和」とか「家庭」という看板が2つ目の大ウソということです。

 1つ目の大ウソは教祖文鮮明(故人)が自分を「神だ」と言っていたこと。神という存在は人間の姿をしているとは限りません。神という言葉と考え方があるだけ。…文鮮明は病気になってあっさり死んだそうですから人間である証拠です。死んじゃいけません、「神」なんだからー。
 
 日本では東郷平八郎の東郷神社、楠木正成の楠神社のように死んだあとに神様扱いされ神社で祀られた人はたくさんいますが、生きているうちに神とはいいません。だから、戦前に「現人神あらひとがみ」扱いされていた昭和天皇は敗戦の翌年1946昭和21年1月1日、自分は人間ですと「人間宣言」をしています。

 創価学会の池田大作名誉会長が今生きているのか、亡くなったのではないか、と騒がれています。命あるものは皆いつか死にます。現状を隠す必要はないのに本部はダンマリを決め込み、時々代筆(代作)らしい文章を発表していますが、写真や動画は一切出ません。

一般新聞を読ませない・テレビを見させない宗教「制約宗教」・・・マインドコントロールのためにその団体が発行する新聞・会報だけを読ませ、ほかの情報が入らなくすることを心理学で「情報遮断じょうほうしゃだん」と言い、洗脳・マインドコントロールをするのための基本になっています。
 ・過激な宗教ほど情報遮断をして世間的常識的な情報や判断力を持たせなくし、自分たちの教えに疑問を持たせなくします。
 ・輸血を認めない、競争を認めない(運動会、児童会選挙など一切ダメ)、テレビはよくない、と禁止する宗教もあります。
 ・子供の遠足・修学旅行の参加を認めない
 ・きちんとした就職をさせない・・・信者を「宗教ドレイ」のように都合よく動員するため、若者にきちんとした会社を目指さないよう指導します。
 ・結婚は信者どうし以外は認めない。恋愛はダメ。
 
特定の宗教や宗派・団体を敵視し、異常に攻撃する宗教
「攻撃宗教」
・「自分たちだけが正しい」と思い込ませ「自分たちは正しい、一般社会は間違っている」「〇〇会は間違っている」「自分たちの会を批判するのは自分たちを攻撃する悪魔・サタンだ」「邪教信者だ」と独りよがりの敵対意識・優越意識をもち続けるように指導します。
・つねに「〇〇に勝利する」「〇〇に勝つ」などと敵をつくり、会の新聞で信者をあおる宗教は、いつも敵を意識させて戦闘意識をあおります。
・自分たちの会と似ているが少し違う宗派や分派をカタキのように憎み、攻撃する。「戦い」という言葉をひんぱんに使う。
いずれも、仮想敵をこしらえて会員・信者の目標をそこに集中させ、自分たちの行動が正しい、と思い込ませます。

*一神教のキリスト教・イスラム教にはその傾向が強くありますが、仏教にも一神教的傾向を強めて他の宗派を「邪教だ」と決めつけ、敵視させる会があります。そして、いずれ自分たちの教えが国の宗教となってすばらしい社会が形成される、それまでなにごとも教えを優先してがんばるよう指導する。敵を潰すまでが戦いですからたぶんずーっと続けることでしょう。その間信者をあおり続け、献金を要求し続けます。

 そして、結局  会員・信者は
 いつも異様に興奮し、白か黒か、善か悪か、敵か味方か二者択一(一神教的)の考え方をするようになり、周囲からは、落ち着かない人、イライラしている人、独りよがりで自分の主張ばかりする人、何でも自分の信仰に結びつけて語る人、許容力のない人とみられるようになります。
 しょっちゅう家を空けて出歩いて信者・会員獲得活動をし、子供の学費・給食費まで献金し、生活費にも困窮する。
 自分の説得に応じないで入会しない人や、やめようとする人に「いいことがないよ」「地獄に落ちる」と脅かし、親しかった友人にも平気で悪態をつく人になります。

参考図書
 「私がこの小説で描いたのは、次々と仮面をかえて金儲けに突進する詐欺団体でしかない。マインドコントロールによって信者を無賃労働者に仕立て上げ、カモを見つけては他者の財産を巻き上げる。 「なぜこうもやすやすと操られるのか?」この疑問が30年前の私にこの小説を書かせた。」中村敦夫『狙われた羊』(講談社文庫・1994年初版・2022年復刊)

参考情報
統一教会総裁らラスベガスに12億円を信者らに持ち込ませ豪遊、64億円を賭博に掛け9億円を損失(文春オンライン・リンク)・・・ 結局日本人信者のお金だった-
統一教会総裁・幹部らがラスベガスでカジノ遊興、旧統一教会の内部資料(TBSニュース・リンク)

   断わる方法
 ・「しつこく勧誘されて困っています」という方は
あれこれ理由を言わずに、「〇〇会には絶対入りません」、「カルト宗教でしょ」、「(家や屋敷内に入っている場合は)警察を呼びます」と答えるのがいい。
 *断るつもりで理由を言うと、相手は「この人は気が弱いからもう少しで会員にできる」「これまでの邪教から救ってあげられる」と、「会員を増やすノルマ」達成の方向にさらに元気を出します。

                                          2022令和4年10月
 ■ 参考ページ
 生きていて一番苦しいのは「思い通りにならないこと」 では・・・
いちばん思い通りにならないことは  ・ 
思い通りにならないから シャバ
思い通りにならない人生 コロナ

 

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