HP東善寺            廃仏毀釈の痕跡―明治政府の日本仏教文化破壊―                     


 
       廃仏毀釈はいぶつきしゃくの痕跡
 頭部を落とされた石仏たち
  
     ―明治政府が進めた仏教弾圧=日本仏教文化破壊政策ー
 
 
閻魔大王 ▲打ち落とされた頭部をつないだ跡がわかる 
  
  「日本は神の国、仏教は外来宗教だ」として1868慶応四年三月明治政府は「神仏分離令」を発し、それまで神仏融合で共存してきた仏教と神道を分離させた。

 例えば榛名山には「榛名山神宮寺」というお寺があった。分離令により神社を選んで残し、神宮寺は消滅させた。でも、今でも榛名神社入口に山門、入ってゆくと三重塔、と仏教寺院の建造物が残っているし、門前の宿坊は今でも屋号を「〇〇坊」という。その主が「坊主」であり、それが歴史である。

 さらに、土地によっては強制的に寺を破却し、仏具法具を売り払い、僧侶を還俗させ、お寺を抹消することまで行うという狂気の時代があった。詳しくはこちら  

 ここに掲示する画像はすべて東善寺境内の石仏たちである。

 明治政府の「神仏分離令」(すてる)(仏教を排しやめる)が→(こわす)釈 にエスカレートし凶暴化した例 である。

 宗教が政治と結びつくと煽動、腐敗、弾圧が始まる。
  外国の例
 :アフガニスタンでタリバーン勢力が2001年2月にバーミヤンの大仏(摩崖仏)をイスラムの「偶像崇拝禁止」に反する、として破壊している。
 :2020年「選挙に不正があった」という、選挙に負けたトランプ米大統領に煽られた群衆が国会議事堂に乱入した事件にも通じる。

 人間は煽あおられると理性を失うことがある。ことに「空気を読め」などと周囲に同調することを要求する日本では、その空気は誰がどういう意図で醸し出しているか、権力者への忖度(そんたく)になっていないか見極める注意が必要。

 いつか又このような暴挙を起こす時代が来るかも知れない、その警鐘として見ておいてほしい。単なる歴史上の話や理屈ではない、大事な証拠物件である。

 参考:日本は神の国・日本古来の宗教というが、神社でインド由来の「三叉の鉾」を祀り、秀麗な山をご神体としているのは、仏教以前からのアジアの渡来民族、渡来思想の表れ。

          
          ▲ 慈母観音像  雨さん・横手好男画
   
                   (東善寺の庫裡玄関入って正面にあります)

        下の慈母観音像をモデルとした絵で、すばらしい優しさがにじみ出ている。
  
モデルの慈母観音像(本堂前)  
首筋をよく見るとセメントでくっつけた跡がある。
日本は神の国、これからは神様だ! 仏教は外来宗教だ!
廃仏毀釈で首を強く叩いて落とされた
70年後に先代村上照賢住職が草むしりで見つけ、くっつけたもの。 
ほかにも首を落とされた石仏が
境内にたくさん 

 
 ▲これも慈母観音像 
頭部が見つからないまま、
赤ちゃんを抱えた痛ましい姿
 

閻魔(えんま)大王 亡者の生前の罪業によって行くべきところを裁く、怖い裁判官
 
 
  ▲ よく見ると首筋にセメントでつないだ跡がある。後ろから頭部を強く叩いて落したらしい。罰当たりとは、こういうことをする人間のこと。

 犯人はエンマ様にどう裁かれたか、見たいものだが…。
 ▲閻魔像の背後に「江萬代 元禄七年 奉造立権田江上下村  善男子善女人菩提也  戌四月吉日」と刻まれている。 
 元禄七年は1694年。江戸幕府が開かれ戦乱の世が終わって90年経過、平和な生活が続いて民の生活も落ち着き、こういう石仏を造立するゆとりが生まれた時代で、当寺三世中興の傑州江萬大和尚の働きで、地域の人々の平安を祈って造られた石造物が残る。

 それが170余年後の明治初年に頭部を落とされた。
世に争いを持ち込む攘夷国粋主義原理主義者のしわざ。
  
  ▲ふろしき観音  大川原家の先祖の苦労を偲ぶ端正なお顔の観音像も▲やはりつないだ跡が残っている           ふろしき観音のページはこちら 
   
  
  ▲十王像 十王信仰の十王仏が残るが、すべて頭部を落とされている。
十王とは…亡くなった日から初七日、二七日・・・と百ヶ日、一周忌、三回忌まで、それぞれ閻魔様と同じく生前の罪業を裁くとされる。生前に十王像を造り供養すれば罪が軽くなるとして、造られた。道教と仏教がミックスしたといわれている。
   
 
 
     六地蔵が並ぶ  
 
👈でも、よく見ると首筋がセメントで接合されている・・・六体すべて。
 
         
      ▲右手に小槌を持ち、左手はかついだ大きな袋の口を持っているから大国様
 大国様は神様だから残されるはずの所、やはり首をセメントでつないだ跡がある。
 ・・・ということは、大国様が大国主命おおくにぬしのみことということを知らないで、お寺にあるものはみんな敵視して首を落したらしい。その程度(低度)の人が空気を読んでやった仕業とわかる。

 ちなみに
大国
様は「オオクニヌシノミコト」、
大黒様は仏教を守護するとして仏教に付随して渡来した大黒天「マハカーラ」(マハは大きい・偉大、カーラは黒)
 これが発音が同じ「ダイコク」だから混同されています。
 新たに見つかった首も付け直し
台を造ってきれいに並べ直しました
2021令和3年5月
 
 関連ページ
日本史の一大汚点、「廃仏毀釈」はいかにして行われたか?(リンク)
廃仏毀釈運動(リンク)
仏教抹殺(リンク)
明治維新の廃仏毀釈「イスラム国的な文化破壊活動」評も(リンク)
鹿児島の廃仏毀釈(リンク)