▽2019年1月27日、テニスの大坂なおみ選手が全豪オープンでクビトバ選手(チェコ)を破って優勝した。おめでとう!
▽第2セットではあと1球取れば優勝、という所からじりじりとクビトバに逆転され、とうとう第2セットを奪われてしまった。以前のなおみ選手なら思うようにならない自分に苛立いらだち、珠がアウトになるとラケットをコートにたたきつけて悔しがったが、この試合ではそれが違った。
思わずラケットを叩きつけるしぐさをチラッと見せたが、途中で思いとどまるようにラケットを振り下ろす手を止めた。オヤ、今日は違うな!と思わせるしぐさだった。
日本では道具を大事にすることを教え、ラケットに当ってもラケットに罪はない、自分の力量に問題があるのだ、と教えられる。そういうことを思い出したかのようなしぐさに見えた。
▽そして第3セットに入ると、人が変わったように顔に一見おだやかな無表情ともとれる落ち着いた表情が現れ、ミスがあっても、プレーが決まって得点してもどちらにも揺れない終止落ち着いた対応がずっと続いた。
いったいどうしてこれほど変わったのか、と思わせる落ち着いたプレーであった。
彼女は後で振り返ってこう言っている。「トイレ休憩で、相手は世界一流の選手。その選手と戦えるのだから勝とうと考えるなんて失礼。謙虚に戦おう、と気持ちを切り替えた」
大事なことは勝ち負けではない、自分らしく戦って相手に敬意を示すことだというのだ。
▽目先の勝ち負けにこだわると、プレーごとに感情が出る。感情に揺さぶられ呼吸が浅くなり、肩で呼吸するような荒くて浅い呼吸になりがち。スポーツ解説者の元テニスプレーヤー松岡修造は決勝戦へと勝ち進んでゆく大坂なおみのポイントは「心しん呼吸が大切だ」と解説していた。心で呼吸をコントロールできれば、優勝までいける…と。
最近の彼女は試合中にミスすると、コートにクルッと背を向けて立ち、ちょっと自分だけの瞑想のような姿勢で心を整えて、再び試合に臨むようになった。
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