岩窟観音(東善寺HP)     おいしい観音清水


おいしい観音清水

観音清水
 水口は、これ以上高くできません。
「水口が低くて、汲みにくい」という声がよく聞かれます。
下の画像で、崖の割れ目から出ている水源を確認し、割れ目を「混合粘土」でふさいで水位をぎりぎりまで上げています。これ以上水口を高くすると、水は崖の奥のどこかに逃げてしまって、こちらに出てこなくなりますから、水口はこれ以上高くできませんでした。
 
 おいしい水を飲めるだけでも幸せ、と考えてください。 
         
「あれも これもと 欲張るなよ」相田みつを

 
 古来、倉渕町権田の岩窟
(いわや)観音堂のすぐわきには清冽な清水が湧き、参詣の村人、通りがかりの旅人ののどをうるおしてきました。
 倉渕は源流の地域ですから村のあちこちからいい清水が湧いていますが、この観音様の清水は特においしいと評判の水です。

 人がみな歩いていた時代には、街道わきの清水はありがたいもの。おいしい水を飲み、木陰で休み、清水をたたえた池に目をやり、観音様にお参りする……、心が洗われるひとときだったことでしょう。たくさんの村人が中学の往き帰りに、この水を飲んだ思い出を持っています。

 しかし、近年、国道が舗装されて排水溝が高くなると、池の水位が上がり、水の涌き口と同じ高さになって池のゴミと清水が同化した状態で、飲みたい気持にはなれない清水となっていました。

再生工事
 予備工事
 平成12年秋、突然の崖崩れで観音堂が崩壊し、国道406号まで岩石が転げ落ちたため、県土木事務所から観音堂背後の崖を吹付け補強し、お堂の前の国道に沿った石垣を積み直して上にフェンスを張りたいと要望がありました。

 このとき、
@池の水位を下げるため、国道の側溝の下に排水管を入れて池の水は側溝より下の水位で流れ出すようにし、その末端は下流で排水溝と合流させる。
A石垣は(コンクリートの間知
けんちブロックのままでは景観が損なわれるので)玉石の「野面積み」で仕上げる。  
  という二つのことを要望しました。
 
 土木事務所は快く受け入れ、まずガケの補強工事と石垣の補強・フェンス工事が進められました。
 観音清水の再生工事
 平成15年秋、ガケの補強工事がすんだので観音堂の再建工事を開始し、併せて観音清水をもう一度整備して、きれいな清水を飲んでお参りの方に元気を出してもらおうと、再生工事を行ないました。
水源を探す by塚越水道
湧き出す源を調べる(9月2日)
 3メートル近く掘って水源を突き止めた
ふさぐ 
岩壁の割れ目に沿って下がっている水源をふさいで 水位を上げる
  その方法は→→
   
        混合粘土の技術 
粘土と即乾セメントの粉を混ぜて、うどんを作るように固く練り、
 こねる 
ダンゴにして割れ目をふさぐと、水が流れていても押し流されず硬化してゆく。塚越水道(正一・百合子夫妻)の息の合ったワザが発揮される
   
 埋める 
清水をパイプで引出し、水源を埋め戻した。パイプをこれ以上高くすると、水は奥のどこかに行ってしまう。ギリギリの高さです。
 池の変形
これまでの池を変えて山側に寄せ
   
 テスト 
水を入れて池の具合を確かめ
 石鉢 
堀井石材が石を彫って水鉢とし
   
 水源を囲み 
岩から出る姿に仕上げてゆく
 塚石 
水屋の柱の台となる石を据える(9月18日)
敷石 
水屋の足もとに敷石を敷く(9月30日)
水屋の観音像 
水鉢のかたわらに観音像を据え(10月1日)
観音様
工事の安全無事を祈って見守る中
水屋を建てる 
佐藤建築が水屋を建てて(10月3日) 
   
屋根をふく 
原田板金が屋根に銅板をふいてゆく(10月10日)
 
 掲額 
洗心の額をかける(10月16日)
 
   
 「洗心」 
心を落ち着けてお参り下さい
標石 
国道の上り・下りで読めるよう二面に彫る(10月17日)
 
清水の湧き口
すっかりきれいになった、
落慶式 
2003(平成15)年10月19日、岩窟観音堂落慶式で完成し、お焼香してお参り。
落慶式の日 大口寄付をしてくれた佐藤達雄さん(東京のスーパー「オオゼキ」創業者)も駆けつけ、「若い頃にこの上の観音山の畑に肥料袋を担ぎ上げて苦労した。この清水は想い出深いおいしい清水です・・・」と祝辞で語っていました。

関連のHP
再び倉渕伝説・権田栗毛(リンク)