住職のコラム (東善寺)    お参りと見物                    


お参りと見物
――言葉一つで褒(ほ)められます――

 「すみません、小栗上野介のお墓を見せてください」
参拝者がやってきてよくこう言います。
 「はいどうぞ、でも・・・、見るのではなく、お参りして下さい」
と答えると、どなたも「へえ?」という顔をなさる。

 「お参りと見るのでは意味が違うでしょ?」
これですぐわかる人もいるが、
 「どう違うんですか」
と聞く人もいます。

 「お墓はお参りするところで、見る物じゃないんです」
だからってどこが違うのか――。若い人などはまだ呑み込めない顔をしている。
 「お参りは手を合わせます。ただ見るだけなら手を合わせないでしょ」
やっと、ああそうか、という雰囲気が見えてくる。

 「それに――、家にお帰りになって『小栗上野介のお墓を見てきた』と言えば家の人はフーン、で終わり。『お参りしてきた』と言えば、えらいねえ、よく行ってきたね、と褒(ほ)めてくれますよ。褒められる言葉を使いましょう」
 「ああ、そういうことですか!ほんとにそうですね!」

今どきの若者はよくわかると素直に反応してくれる。さっそくうれしそうにお墓へ上がってゆきました。