キナバル登山 ●●  東南アジアの最高峰・キナバル山(4,095.2m)に登る
キナバル山に登る
Aki Nabalu アキ・ナバル(祖霊の宿る山)がなまって、キナバルと呼ばれるようになったという、4095.2mの東南アジアの最高峰。キナバル公園一帯はマレーシア最初の世界自然遺産。

訪ねてみるとここはみごとに管理されていて、登山許可申請、個人名の入った入山カード交付、ガイドの同行義務付け、宿泊施設の予約制、登山時間外の通行禁止措置、カードによる通過チェック、自然保護、など日本でも見習うべき点の多い山だった。

世界自然遺産として世界各地からの登山者を受け入れる体制が、りっぱに組み上げられていた。

我々のパーティーは日本人8人と友人のインド人(シンガポール在住)で計9人の中高年登山隊。ヒマラヤ経験者から、2〜300mの山しか登ったことのない人もいて、バラエティーに富んでいる。(2005・平成17年9月1日登頂)

ちなみに、先祖の霊が山に宿る、という考えは日本にも古来からあって、秋田県の岩木山、山形県の山寺、栃木県の岩舟山、などはよく知られているところです。
                         

 

▲道端の果物屋さん
コタキナバルに泊まって、山へ向かう途中でランプータン、ドクウなどを食べる。うまくて安い。
 ▲国立公園本部(PHQ)
ここで入山手続きをして、公園内に入る。
▲登山コースを示す大きな看板があった。
     
 ▲夕陽のキナバル
高い電波塔、その上にラバンラタ小屋が白く見え、夜は灯りが光っていた。
明日はあの小屋まで登るのだ。
 ▲夕食
ロッジ近くのレストランで夕食。バイキング形式でなかなかおいしい。朝食もここでとる。
帰りに食べたラーメンもタンメン風でおいしかった。
 ▲登山カード
入下山口のティンポホンゲートとサヤッサヤッ小屋でこれを通過チェックし、下山後は記念にもらえる。むかし遭難した外国人の身元確認に手間取ったことから始まったらしい。
 
 ▲ティンポホンゲート
PHQからバスでここまで来てカードを提示し、9:15にいよいよ登山開始。
 ▲キナバルマラソン登山の記録表
我々が2日かけて登ろうというのに、なんと、登って下って2時間40分!
群馬の鏑木毅選手は昨年初出場で16位。ことしは10月2日、10位(3時間3分44秒)でした。
▲カ ールソン滝
ゲートからいったん下って滝のわきを通り、いよいよ登山が始まる。ラバンラタまで6時間の登りだ。
 
▲登山道 急な登りもあれば、ときどき平な尾根の道もある。初めて登頂したのは、イギリス人の植物学者ロウズ氏。熱帯雨林の密林にこの尾根を見つけた努力に敬服。それまでは神の宿る神聖な山として地元民があがめる山で誰も登らない山だった。世界中からの登山者受け入れで、ガイドが案内で稼ぎ、地元民に植物や自然保護の思想が広まり、ポーターも食材などの荷揚げで働ければ、生活に大事な山となっていることだろう。 ▲熱帯雨林 高い木の下に草が生い茂り、ツタが絡まり、ランが着生して花を咲かせている。
 
▲休憩小屋 コース途中、40〜50分ごとに休憩小屋があって、トイレ、水タンクが備えられている。各国からの登山者が集まり、国際交流の場となる。クアラルンプールの大学生一行はにぎやかで元気がいい。抜いたり抜かれたり、そのたびに片言会話で笑いあう。平和が一番いい!と思う。それにしてもイスラム教徒はスカーフ(プルカ)をつけて登山するのでは、さぞ暑いことだろう。  ▲3キロ標示 コース途中にこの標示板が500mごとに設置されていて、これが8kmを越えれば頂上が近い
 
 ▲登山道の植物 着生しているラン、地面に生えているラン、とにかく熱帯雨林はランが多い。これはネックレスという名のラン。ボルネオ特有のランらしい。 ▲これもネックレス  とにかくたくさんの種類・量があって、いたるところが熱帯植物園に入り込んだよう。
     
 ▲ウツボカズラ ボルネオを代表する植物、食虫植物のウツボカズラ。ツボに水がたまっている。大小いろいろあって、初めにガイドに頼んでおくと、ポイント地点で教えてくれる  ▲シャクナゲ 標高の低いところから高いところまで、種類の異なるシャクナゲがたくさん見られた
 
 ▲ラン 名前がわかればもっと楽しいだろうが、残念ながら、ワ、きれい!でおしまい。  ▲ラパンラタヒュッテ  頂上を間近に仰ぐ岸壁帯の下に3階のヒュッテが立つ。日本の山小屋のイメージではない。大きなレストランとホテルという感じ。部屋の中は2段ベッド。  ▲背後の岩壁
キナバルサウスから落ちてくる岩壁が背後を圧倒する。上はグンティンラダン小屋で、食事はラバンラタでとって、泊まるだけの小屋。
   
▲頂上へ 早朝3:30、ヘッドライトを頼りに登りだす。サヤッサヤッ小屋でチェックのあと、少し登ると夜が明け始めて朝焼けの空となった。岩場はコースに太いロープが張られ、手がかりと、道しるべを兼ねている。しだいにドンキーイヤーズ(ロバの耳)の双耳峰が低くなる。標高が高くなると空気が薄い。苦しい呼吸をととのえて登り続ける。           この両耳のうち左側の耳が、2015年6月5日に起きたM6の地震で欠け落ちた。
花崗岩のスラブ帯は摩擦がつよくて、スリップせず、見ためより登りやすかった。
 
    ▲8k標示
ようやく8kmを越えた!頂上がすぐそこに見えている。早くに登った登山者がどんどん下山してくるのにすれ違う。
 ▲シャクナゲ
乾燥したスラブの岩にへばりつくシャクナゲ。厳しい環境だから葉が小さく、ベンケイソウのよう。
▲頂上近し
頂上はすぐ背後なんだけど、やはり休みたい。そして力を振り絞って頂上直下の岩場を登る。初登頂者の名前をとって最高峰はロウズピークという。
  ▲記念写真 4095.2m。全員がそろって登れたことが何よりうれしいこと。
   
 
 ▲頂上からの景観 北側(左)はものすごい絶壁だった。これではほかにルートがないはずだ。ルートが1本だけ、ということがこの山の管理をしやすくしている。北側のセントアンドリュース(右)もいい山だが、ロウズピーク以外は登らせていない。 
 
  ▲サヤッサヤッ小屋 下山チェックの係員は我々を待ちきれず下っていた。ガイドがキーをかけて今日はもう誰も登れない。
 ▲岩場
スラブ帯の始まりあたりが少し緊張する急傾斜だった。これを下ってさらに少し下ったところ、ラパンラタヒュッテにもう一泊。
▲ティンポホンゲート 登・下山口
ラバンラタ小屋にもう一泊して、下山した。ここでカードチェックを受けて登山終了。お疲れ様でした。
     
   ▲登頂証明書
途中であきらめた人には白黒カードだそうな…ヨカッタ
 
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