東善寺HP 雨さん ●● 石仏結縁(せきぶつけちえん) |
石 仏 結 縁 やさしさと寂しさ、厳しさをそなえた画風 |
■女性ー1 東善寺蔵 |
出会い |
「お茶をあがりませんか・・・」 2月の寒い夕方、境内でスケッチする姿を見かけてかけた一言が、雨さんとの縁を結んでくれた。 お茶のあいだに見せてくれた石仏画の数々は、これまでにであったことのないほど崇高(すうこう)な精神に満ちたものだった。 「私は誰にも習わず、絵の学校も出ていません。いっしょうけんめい描いているだけです。」 いい絵を見せてもらいなさい、と呼んだ私の家族の前でそう語った雨さんは、出てきた私の子供達をスケッチブックを開いて順に描き始めた。 一本の線がむぞうさにスーッと引かれる。次の線がまたスーッと走って見る間に顔の輪郭になり、目になり、髪のふくらみになる。ことに雨さんの絵の特徴はその目のやさしさ、口元のやさしさにある。娘達を素敵な絵に描いてくれた雨さんは、感激した娘が「ブッダ」の本を差し出すとまたまた大喜び。さわやかさとやさしさを山寺に残して帰ってゆかれた。 1987年2月のことだった。 |