東善寺HP     宥座之器(ゆうざのき)      



孔子が中庸の大切を説いた


宥座之器
ゆうざのき

制作寄進 針生清司(はりゅう きよし・館林市)様
東善寺所蔵
       三つの壷に注意
 水が入っていないので傾いている
 水がほどよく入っているのでまっすぐ
 水を入れ過ぎたので、覆(くつがえ)ってしまった

小児(左から3人目)が水桶を前にしている
孔子(中央の人物)が中庸(ちゅうよう)の大切を説いている

【上記の絵は針生清司さんが入手したものですが、作者や出版者が不明です。ご存知の方は東善寺へお知らせください】
  宥座之器     宥座=座右 に置く器

虚則攲
    虚なれば即ち傾(攲)き  空っぽだと傾き
中則正    中なれば即ち正しく     ほどよいと真っ直ぐに立ち
満則覆    満つれば即ち覆る     入りすぎるとひっくり返る

孔子喟然而嘆曰  孔子が喟然(きぜん・ため息をつく)として嘆じて云った 
吁悪有満而不覆者哉 ああ、悪(いずく)んぞ満ちて覆らざるものあらんや
               ああ、どうして一杯になって覆らないものがあろうか
子路曰     子路が言う
敢問 持満有道乎 敢えて問います 満を持するに道有りや 
           「しいてお尋ねします
            満ち足りた状態を維持出来る方法はありましょうや」

孔子曰     孔子が答えた
聡明聖知守之以愚 聡明聖知なるは之を守るに愚を以てし
           「聡明聖知のすばらしい智があればこれを守るのに愚を装い
功被天下守之以譲 功天下に被(こうむ)るは之を守るに譲を以てし
             功業が天下に行き渡るときは之を守るのに謙譲を以てし
勇力撫世守之以怯 勇力世を撫(おお)うは之を以て守るに怯(きょう)を以てし
          勇力が一世を蔽う時はこれを守るのに臆病のような態度をとり
富有四海守之以謙
 冨四海を有(たも)つは之を守るに謙を以てす
        富力が世界中を占有する場合はこれを守るのに謙遜を以てする
此所謂挹損之之道也 此れ所謂挹(おさ)えて之を損ずるの道也
           これが世にいう抑損の道(盈満が自ずから極端な行動動作          となることを引き止めて、満を持して行くことができる道)と称するものである」


空っぽだと傾き

ほどよく水が入ると真っ直ぐに立ち

満ちるとひっくり返って

すべて失う
 
 人生におけるすべてのことにおいて、無理をすることや満ち足りることを戒め、中庸(ちゅうよう)の徳、謙譲謙虚の徳の大切なことを教えています。 

 仏教でいう「少欲知足」の生き方に通じます。

 制作者針生清司氏(館林市)は銅司(あかがねし)として板金加工を業としているが、文献で知った「宥座之器」を制作することを思い立ち、調べると実際に出来上がって機能しているものは中国にも存在しないことを確かめ、試行錯誤の末に13年間をかけて完成しました。

 主な展示先(寄贈先)
中国 山東省 曲阜市  孔子研究院/長崎 長崎孔子廟/岡山県 旧閑谷学校/東京 湯島聖堂/足利市 足利学校    と 高崎市 東善寺

  東善寺へ寄進
 住職村上泰賢の講演「小栗上野介」を聴いて「父は横須賀造船所・工作学校で板金技術を身につけて自分に伝えたが、その原点は小栗上野介の造船所建設による近代化構想にあった!」と感激。平成24年7月に東善寺に参拝し、小栗公のそばに置いてほしいと「宥座之器」と「木鐸」を寄進された。
■大きさ 当寺へ寄進されたものは高さ44センチですが、中国へ寄進したものは孔子の身長に合わせて高さが2m(なんと大男!)だそうです。
木鐸
ぼくたく

針生氏は同じく木鐸も制作寄進された
木鐸 ぼくたく
 
 振り子が木でできた銅製の鐘(振り子が金属の場合は金鐸という)。古代中国で法令などを知らせる時に鳴らされたもので、転じて「教え導く人」「世の指導者」という意味でも使われる。

 針生さんは漢和辞典や四書五経などの文献をあさって調べ、正確な復元を目指して完成させたもの。
針生清司さん

 館林市。建築板金の仕事に精通し「現代の名工」に選ばれている。
工房「銅司・あかがねし」ホームページ「宥座之器」はこちら