山だより生命の島屋久島・宮之浦岳



(1936m)


昔から、島があって山があるところにあこがれていた。子供のころ読んだ「宝島」や「ロビンソンクルーソー」「十五少年漂流記」の影響かもしれない。
新婚旅行は「屋久島の宮之浦岳」か「利尻島の利尻岳」どちらにしようか迷った挙句、梅雨時だから九州より北海道がよかろうとなって、利尻岳に決めた。
以来、屋久島は宿題の山となっていた。

2002年6月、宿題を果たせるチャンスがきた。メンバーは倉渕村猟友会のメンバー・プラスアルファ。私は殺生をしないから、会員ではないアルファのほう。会員も銃は持参しない、ふつうの観光。山に登るのは私とT氏。二人とも倉渕山岳会員だから「縄文杉より山がいい」と登山を選んだ。あとのメンバーは縄文杉コースを選ぶ。

世界自然遺産登録地域
■6月13日(木) 屋久島へフライト
倉渕村〜高崎〜東京〜羽田空港〜鹿児島空港・乗り換え〜屋久島空港
朝8時に村を出て、夕方4時30分には屋久島の宿に着くのだから、便利になったものだ、と感心する。果物などを買いこんで登山の準備。ガスボンベを羽田空港のチェックで取り上げられたが、旅館ロビーに誰かの使い古しが置いてあり、「自由にどうぞ」というので一つ借りた。
屋久島空港 15時55分着愛子岳らしい山が雲の上に見えて、南の島の雰囲気。 田代別館 大きい旅館で「もののけ姫」の取材で宮崎駿監督がしばらく滞在して白谷雲水峡などに通ったという。

■6月14日(金) 宮之浦岳登山
旅館5:00(タクシー5000円くらい)〜6:00登山口・・・6:40淀川小屋(よどこや)7:00・・・7:50高盤岳展望台・・・8:12小花之江河…9:30高倉君遭難碑・・・11:30宮之浦岳山頂12:20・・・13:30黒味岳分岐・・・花之江河・・・14:55淀川小屋・・・15:42登山口(タクシー)〜16:30旅館
「ひと月に35日雨が降る」と言われる屋久島だが、今日はさいわい降られなくてすんだ。一日高曇りの空で、視界もきいて櫻島や佐田岬、喜界ヶ島などがうっすらと見えた。宿に帰ったのは縄文杉コースより早かった。

登山口 ここまでタクシーで入れるから、助かる。 シャクナゲ ひと登りで淀川小屋に着く
淀川小屋 よどこや、と読む。しっかりした作りで、水場もあり第1日をここまで来ていれば、宮之浦岳から縄文杉まで一日で縦走できる、と見た。 淀川 よどごう 澄みきったゆったりした流れが小屋のすぐ裏にあった。鉄の橋を渡ると急な登りとなる。
登る 小屋からしばらくジグザグの登りが続く。大きな杉がそびえるが、この島では目立たない。 本高盤岳展望台
展望台で一緒になった地元安房の写真家堀江さん。 おかげで頂上までガイドつきとなった。
小花之江河 尾瀬と同じで、コケ類が寒さで腐食しきれずに堆積する高層湿原。点在する池塘がきれい。 瞑想 アンテナ病と名付けたほど、T氏は携帯電話を離さないのに、何考えてるのか。珍しい!。
モウセンゴケ 雨が多い山だけあって、湿原にマルバノモウセンゴけがあった。 コケスミレ 堀江さんに教えてもらった珍しい花。小さい。
花之江河 はなのえごう
と読む。小花之江河からすぐ上にある湿原でこちらの方が大きい。
栗生岳 くりおだけ このあたりの山肌には、大きな花崗岩が点在し、笹とシャクナゲがお庭の景観を作る
栗生岳 は宮之浦岳の中腹のピークで、大きな岩室となっていて、中にお宮と、こんなものが!(クリックして見てください) 宮之浦岳 栗生岳からすぐそこに見えるが、最後の登りがつらい。
山頂の標識 切り立った山の島だから、頂上から海岸線は見えない。雲の上に喜界が島の影が浮かぶ。 永田岳 西の雄峰永田岳がどっしりと聳える。
愛子岳 東に愛子岳が見え、小杉谷あたりと思われる河原が、北沢に見える。 ▲ムダ石 いくら石集めが趣味でも、その花崗岩は風化してるからやめたほうがいい…、という忠告をムシ。下で見たら、やっぱり崩れた雷おこし!
白谷雲水峡 最終日はレンタカーで島巡り。白谷雲水峡は澄んだ水と深い苔の森、シカ、サルが遊ぶ貴重な谷だった。
■6月15日(土) 島巡り
レンタカーで島巡り。白谷雲水峡〜屋久杉自然館〜平内海中温泉〜空港17:50〜18:30鹿児島空港19:45〜21:25羽田〜高崎〜倉渕村
峡谷を行く シカが岩を歩いて遊び、サルが木の上から声をあげる。人間はそのわきを静かに歩かせてもらう。 白谷雲水峡原生林
地元の写真家堀江重郎さんの作品です。
二代大杉 高さ32m、周囲4.4m。一代目の切り株の上に落ちた種から成長した。根は、かかえこんでいた一代目の切り株が腐って空洞になった。 ▲山の木が落ち着いて、永年にわたって根を張っているから、雨が多くても急に増水せず、水が濁らず、岩の苔がはがれないことがわかる。