住職のコラム(東善寺HP)   立往生の電車で布施を見た   



立往生の電車で「布施」を見た女子高生

◇1月に新潟県三条市の信越線で大雪のため電車が15時間も立ち往生してしまいました。幸い電気は通じていて暖房はありトイレもありましたが、翌日朝に乗客430人が救出された時の様子をテレビが報じ、「大変だったでしょう」と二人の女子高生がカメラを向けられインタビューを受けていました。「ええ、大変でした。でも…」と女子高生たちは答えています。

◇「電車ではみんながお互いに席を交代したりして、譲り合ってなごやかに過ごしていたので、いい場面を見られてうれしかったです…」高校生は、動かない電車で一晩過ごした疲れよりもその場に居合わせたことがよかったような口ぶりでした。 

マンサク 雪が消えると春を告げる花

◇お釈迦様は、あなたが持っている力を人に分ける行いが亡くなった人の供養につながる、と示しています。

あなたはどんな力を持っているか―。
 「ここにかけませんか」と自分の席を譲るのもあなたの力、
 「これを食べて下さい」 「この品・道具を使って下さい」と差し出すのもあなたの力、
 「このお金を使って下さい」と差し出すのもあなたの力、

 お金や品物でなくても
 「疲れたでしょう」
 「つらかったでしょう」
 「苦しかったでしょう」 と声をかけるのもあなたの力、

 優しい眼、いたわりの眼で見るのもあなたの力、
 笑顔で接するのもあなたの力、

仏教ではこういう行い全てを「布施」と言います。誰でも布施をする力を持っている、ということになります。
◇立ち往生した電車の中で乗客たちは互いに布施をして過ごしていた、ということになります。女子高生がなにかうれしそうに語る画面で、電車の中の様子を想像してこちらまで心が暖かくなりました。

◇いま外国人観光客がたくさん日本に来ています。そういう外国人が共通して「日本人は優しい」「日本人は他人に対して思いやり・敬意を持って接してくれる」と語っています。
 
◇国民の程度・レベルを「民度」といいます。電車で「つらい時はお互い様ですから、席を替わり合いましょう」と年配の婦人が勇気を出して車両を呼びかけて歩いていたという話もあります。いくら呼びかけても応じるみんながいなければ成り立たない。

日本人は、江戸時代の戦争をしない260年間に生まれたゆとりが教育文化を育(はぐく)み、こういう時に呼びかけに応じてお釈迦様の教えを当たり前のこととして実践する高い民度を育てていたのでしょう。
                                                (2018平成30年3月)



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