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 恩師の気配りが活きているクラス会

  ・7月初めに「倉渕東中学校第10回卒業生合同クラス会」を行なって、「最後のクラス会」としました。
県内県外から懐かしい友人男女が集まりいくつになっても気兼ねなく語れるたのしい会でした。
中学時代で思い出すことがあります… 
 
  
 中学3年生になって間もなくのことでした。担任の先生から
「来週から補修授業を始めるから希望者は残って受けなさい。この補修授業は進学希望者だけでなく、就職希望の生徒も希望者は一緒に受けなさい。進学しないものはまとまって勉強するのはこれが最後になる。社会に出ても勉強は一生するもの、いま勉強しておけばきっと役に立つと思って一緒に補習授業を受けなさい」 「むしろ就職する者こそ、しっかり補修授業を受けなさい」
という話がありました。たぶん3クラスとも同じ趣旨の話があったことでしょう。先生はいい話をしてくれたな、と印象的でした。

 こうして希望者が一緒に集まって補習授業が始まりました。
 進学希望者には時々有料の模擬テストがあります。その時間、模擬テストを受けない生徒は隣の教室で先生がふつうに補習授業をしていました。模擬テストに取り組みながら、隣の教室から聞こえてくる先生の声に、どの生徒にも気を配ってくれる先生方の温かさを感じて、ホッとした安心感に包まれる思いでした。

 
ヒメサユリ 浅草岳(新潟県) 下は田子倉湖の登山口
  
 
戦後間もない時代で、ようやく世の中が落ち着き始め、高校への進学者も少しずつ増えてきたころ、といっても私たち同級生130余名のうち進学希望者は30名くらいでした。数年前から進学希望者のための補習授業で合格者を増やそうとした教師の努力が、逆に就職組の生徒に疎外感・差別感を抱かせていたのでしょう。私たちの数年前には、卒業式が近くなると学校の窓ガラスが割られ、器具が壊されることが起きていました。
 先生方はその犯人を探して生徒個人の責任を追及するよりも、そういった出来事の背景にせっかく優れた学力を持ちながら家庭の状況で進学をあきらめざるを得ない生徒がいて、就職組の生徒にとって面白くない学校になっていたことに原因がある、と話し合ったのでしょう。その問題解決が、「誰でも補習授業を受けなさい」という呼びかけになったのだろう、と理解できました。

 周囲の方から、「よくクラス会をするねえ」「仲がいいねえ」と言われるのは、あの時の先生方の気配りが活きていて同級生の間にわだかまりがなかったおかげ、と思っています。中卒で就職し苦労して現在を迎え、故郷へ帰っても実家は誰もいない空家、あるいは家すらなくなっている友達もいる。クラス会を開催するのは地元に残った者の務め、そういう同級生への慰労の時間、と考えてやってきました。「最終会」までできたことに安堵しています。

 ◆クラス会の前に任意参加で「同級生及び恩師 物故者供養」の法要をして恩師に感謝・同級生慰霊の気持ちを表しました。 2024令和6年7月

 
 

 

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