| 住職のコラム(東善寺) ● ● マザーマシン |
| 日本の産業革命の地・横須賀 従来、日本の工業の原動力は人力・牛馬・水車までだった。横須賀製鉄所ははじめから蒸気機関を原動力としていたから「蒸気機関を原動力とする日本最初の総合工場」といえる。まさに日本の産業革命の地である。司馬遼太郎が「日本の近代工学のいっさいの源泉」(「三浦半島記」)と書いたのは、このことを指す。 |
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| 「知事からは、いつも現場へ出るようにと言われますが……」 新しい県庁で会った県の幹部は、いま駐車場工事中でマイカー通勤が 禁止ということもあって、高層の部屋で仕事をしていると外へ出かけ るのがついおっくうになる、とこぼした。現場へ出ないで仕事をする と、思わぬミスを招くこともあろう。高層化したらよけい現場に出る ことを心がけてほしいものだ。 現場といえば、今は米軍基地になっている横須賀造船所に、幕末に 購入したハンマーが残っていると聞いて、数年前に見学に入ったこと がある。案内されて驚いたのはその大きなこと。高さ約五メートルも ある半円形の鉄のアーチがどっしり据えられている。しかも、工場長 は「ちょうど仕事が入っているので動かします」と言う。 |
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驚く私たちの目の前に、すぐに真っ赤に焼かれた三〇〇キロの鋼材 が天井のクレーンで運ばれ、アーチの中央のハンマーの真下に据えら れると、ハンマーがスチームの力によりハンドル一本でスッと上がり、 自重三トンの凄い響きで打ち落とされる。 |
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| スチームハンマー(3トン) マザーマシンと呼ばれ、あらゆる機具の母機として活躍した。 |
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ところが、「この道具ですぐ船が造れたわけではありません」と、工場長はいう。 私の不審を察してさらに説明する。「当時は、ドライバーも、ボルト
一本も日本製がなかったから、まずこのハンマーで機械を作って工具 や部品を生み出し、それから造船に入っていった。このハンマーがそういったものを作る大元の機械だから、いちばん原点にあ
るこのハンマーを、現場ではマザーマシン、と呼んでいます」 |
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