| 住職のコラム●● マザーマシン |
| 「知事からは、いつも現場へ出るようにと言われますが……」 新しい県庁で会った県の幹部は、いま駐車場工事中でマイカー通勤が 禁止ということもあって、高層の部屋で仕事をしていると外へ出かけ るのがついおっくうになる、とこぼした。現場へ出ないで仕事をする と、思わぬミスを招くこともあろう。高層化したらよけい現場に出る ことを心がけてほしいものだ。 現場といえば、今は米軍基地になっている横須賀造船所に、幕末に 購入したハンマーが残っていると聞いて、数年前に見学に入ったこと がある。案内されて驚いたのはその大きなこと。高さ約五メートルも ある半円形の鉄のアーチがどっしり据えられている。しかも、工場長 は「ちょうど仕事が入っているので動かします」と言う。 |
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驚く私たちの目の前に、すぐに真っ赤に焼かれた三〇〇キロの鋼材 が天井のクレーンで運ばれ、アーチの中央のハンマーの真下に据えら れると、ハンマーがスチームの力によりハンドル一本でスッと上がり、 自重三トンの凄い響きで打ち落とされる。 |
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| スチームハンマー(3トン) マザーマシンと呼ばれ、あらゆる機具の母機として活躍した。 |
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ところが、「この道具ですぐ船が造れたわけではありません」と、工場長はいう。 私の不審を察してさらに説明する。「当時は、ドライバーも、ボルト 一本も日本製がなかったから、まずこのハンマーで機械を作って工具 や部品を生み出し、それから造船に入っていった。いちばん原点にあ るこのハンマーを、現場ではマザーマシン、と呼んでいます」 |
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